成形品に抜き勾配を付けた後の肉厚変化量を計算するためのツールです。特に深さのある筐体や容器などは、抜き勾配を設けることで肉厚の先端と根元で大きく寸法が変化します。電卓はなくともポケットにあるスマホで簡単に計算ができますので、ぜひご活用ください。
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目次
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抜き勾配に応じた肉厚変化量計算ツール
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エクセル版:抜き勾配に応じた肉厚変化量計算ツール
下表を全コピーしてエクセルのA1セルにペーストすれば計算シートとして活用できます。
青字セルに値を入力すると、赤字セルにΔt(抜き勾配に応じた肉厚変化量)に関する計算結果が表示されます。
入力欄 | ||||
θ | 抜き勾配 | (値を入力) | ° | |
D | 深さ | (値を入力) | mm | |
計算結果 | ||||
Δt | 肉厚変化量 | =ROUND(D3*TAN(RADIANS(D2)),3) | mm |
最後に
学生時代に教わった三角関数たち。
sin(サイン)、cos(コサイン)、tan(タンジェント)。
これらの三角関数は、今回の抜き勾配による肉厚変化量を知るために、社会に出て初めて実用的に使った関数の1つとなります。
自己満足となりますが、とても小さなことではあるものの、当時とてもうれしく感じたものです。
金型打ち合わせ時のあるある話として、金型メーカーさまに抜き勾配を大きくするよう変更を迫られ、勾配変更による肉増しにより、他の部品と干渉するようなことがないか、元々設定していたクリアランスが適性に維持できるかを、その場で瞬時に判断しなければならないことがあります。
短納期で試作をお願いしている手前、都度CADでモデル変更を行いながらの確認や、一旦持ち帰り後日回答といったような時間は、フロントローディング化が進んでいる開発工程において、そのような余裕は一切ありません。
金型打ち合わせの際、今はスマホを使って計算できる時代となりましたが、昔は電卓を使いながら瞬時に計算を使い、金型メーカーさまと対等にやりとりをしていた先輩エンジニアの背中が、今も尚、とても誇らしくて懐かしく思えます。
そんなクールな格好いいエンジニア。
そんなエンジニアに少しでも早くなってみたい今日この頃です。
「ローマは1日にして成らず」ではありませんが、今日も1つ1つを確実に吸収し、経験豊かな偉大なエンジニアになれるよう、一緒に頑張っていきましょう!
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補足
成形部品を設計する際、部品同士を嵌合させる方法(固定させる方法)として「スナップフィット(嵌合つめ)」がよく使われます。
ねじや接着剤を使わずに固定できるため、コストダウンもはかれ、メンテ性にも優れます。
そんなスナップフィットに関する強度計算ツールや計算ツールの元となる計算式の出所について、過去に掲載したページがありますので、関連資料としてご参考までに添付いたします。
成形部品の設計を行うメカエンジニアの方は、必須の項目となります。
ご興味のある方は、ぜひ一読しておくのもよいかと思います。